
犬と暮らしていると、ふとした瞬間に顔をペロッと舐められること、ありますよね。
最初は驚いてしまっても、毎日のように繰り返されるうちに「これはどういう意味なんだろう?」と疑問に感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
愛情表現なのか、何かを伝えようとしているのか。それとも、ただのクセ?
実は犬が人の顔を舐める行動には、複数の理由と意味が隠されているのです。
このページでは、犬が顔を舐める行動に込められた心理や本能、そして飼い主としての適切な対応について、わかりやすく解説していきます。
愛犬の気持ちをもっと深く知るためのヒントとして、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
犬が人の顔をなめる行動は本能からくる
犬が人の顔を舐める行動は、実は古くから受け継がれてきた“本能”に由来しています。
たとえば、子犬は母犬の口元を舐めて食べ物をねだったり、安心を得たりします。これは、親子間の愛情や信頼を確かめ合う大切なコミュニケーションのひとつです。
また、犬同士でも、群れの中で上下関係を示す行動として「舐める」ことがあります。
リーダーに対して服従や敬意を示すときに、相手の口元や顔を舐めるのです。この習性が、人との関係にも当てはめられていると考えられています。
つまり、犬が顔を舐めてくるのは「あなたを信頼しているよ」「仲良くしたいよ」というサインである可能性が高いのです。
ただの癖や甘えではなく、本能に根ざした“心の表現”だと捉えることで、より深い絆を築くヒントになるでしょう。
犬が人の顔をなめる理由|5つの感情・心理状態
犬が顔をペロペロと舐めてくるとき、そこには単なる習慣以上の“感情”が込められています。
以下では、代表的な5つの心理状態をご紹介します。
以下が、代表的な5つの心理です。
1.愛情や信頼の気持ち
2. 食べ物やにおいに反応している
3. 不安やストレスを感じている
4. 飼い主の反応を楽しんでいる
5. 遊びたい・構ってほしいという要求
それでは、具体的に1つずつみていきましょう。
1. 愛情や信頼の気持ち
もっとも多いのが「大好き!」「安心するよ」という愛情表現です。
飼い主に対して安心感を抱いているとき、犬はその気持ちを伝えようと本能的に舐めることがあります。
これは母犬と子犬の関係に似た行動で、「あなたのことを家族だと思ってるよ」というサインでもあります。
2. 食べ物やにおいに反応している
犬の嗅覚は人間の数千倍以上といわれ、ちょっとした匂いにも敏感です。
飼い主の顔にお菓子や食べ物の香りが残っていると、それに惹かれて舐めるケースがあります。
特に口のまわりを好んで舐める場合は、食事後などの匂いが原因になっていることが多いでしょう。
3. 不安やストレスを感じている
意外に思われるかもしれませんが、犬は不安や緊張を感じたときにも舐める行動を見せることがあります。
これは“自己安定行動”と呼ばれ、自分の気持ちを落ち着けようとする無意識のしぐさです。
飼い主のそばに寄って顔を舐めることで、安心を得ようとしているのかもしれません。
4. 飼い主の反応を楽しんでいる
過去に舐めたときに「かわいい〜!」と笑ってくれた経験があると、犬はその記憶を学習します。
すると「また喜んでもらえるかも!」と期待して繰り返すようになります。
これは“正の強化”と呼ばれ、犬のしつけや行動形成の基本原理でもあります。
つまり、犬にとって顔を舐めることは「ごほうびをもらえるかもしれない行動」になっているのです。
5. 遊びたい・構ってほしいという要求
「ねえ、こっち向いて!」「遊んでよ〜!」という要求サインとして舐めてくることもあります。
特に、忙しそうにしていたりスマホを見ているときに限って顔を舐めてくる場合は、犬なりの“アピール”の可能性が高いです。
このとき、無視をするのではなく「後で遊ぼうね」と声をかけるなど、やさしく対応してあげると信頼関係も深まります。
顔ばかりなめるのは問題?しつけや衛生面の注意点
犬が顔を舐めてくるのは微笑ましい光景かもしれませんが、頻度や状況によっては注意が必要です。
ここでは、しつけや健康面の観点から、気をつけたいポイントを解説します。
◆ 過剰な舐め行動はストレスのサインかも
顔をしつこく舐めてくる場合、犬が不安や退屈、ストレスを感じている可能性があります。
たとえば、留守番が長かったり、刺激が少ない生活を送っていると、「舐めることで落ち着こう」とするケースがあります。
一時的なものなら心配ありませんが、日常的に過剰な舐め行動が続く場合は、生活環境やコミュニケーションの見直しが必要です。
◆ 舐めることで“クセ”になってしまうことも
犬にとって「舐める→飼い主が構ってくれる」という学習が成立すると、それは習慣化しやすくなります。
何度も顔を舐められるたびに笑って反応していると、「この行動をすれば注目してもらえる」と覚えてしまうのです。
望ましくないタイミングで舐めてきたときには、叱るのではなく“無反応”で対応し、代わりにおもちゃなどに意識を向けさせると良いでしょう。
◆ 衛生面では注意が必要なケースも
犬の口の中には、人間と違う細菌が多く存在します。
健康な人であれば大きな問題になりにくいですが、免疫力が低下している人や小さな子ども、目や口などの粘膜を舐められた場合には、感染症リスクがゼロとは言えません。
特に顔の傷やニキビなどがあるときは、舐められたあとにしっかり洗い流すようにしましょう。
清潔を保つことは、犬との健康的な共生にもつながります。
舐めてくる行動にどう応えるのがベスト?
犬が顔を舐めてくるとき、どう接するのが正解なのでしょうか?
一番大切なのは、“感情的に反応しすぎず、冷静に対応する”ことです。
まず、愛情表現として舐めてきた場合には、軽くなでてあげたり「ありがとう」と声をかけるなど、犬の気持ちに寄り添うリアクションを心がけましょう。
ただし、頻度が多すぎるときやタイミングが悪いときは、無言でスッと顔をそらすだけでOK。この無反応が、「今はやめてほしい」というサインになります。
強く叱ると、犬が混乱したり、逆に不安からもっと舐めるようになることもあるので注意が必要です。大切なのは、「舐める=いつでもOK」ではないということを、やさしく伝えること。
その代わりに、おもちゃで遊ぶ、散歩に行くなど、別のポジティブな方法で関わりを持つと、犬も満足しやすくなります。
犬の気持ちに寄り添いながらも、メリハリある対応で関係性を築いていくことが理想的です。
よくある質問(Q&A)
Q1:寝起きに顔を舐めてくるのはなぜ?
A:
寝起きに顔を舐めてくるのは「おはよう!」「起きて!」というコミュニケーションの一種です。
飼い主の動きや表情の変化に気づき、挨拶や関心を引こうとしているのでしょう。起きたばかりの飼い主を気づかう、微笑ましい習慣とも言えます。
Q2:他の家族は舐めないのはなぜ?
A:
犬は人を個別に認識しており、それぞれに異なる接し方をします。特定の人だけを舐めるのは、その人との絆が深い証拠。
においや声、反応などから「この人には舐めても大丈夫」と安心しているサインでもあります。
Q3:最近舐めなくなったのは嫌われたから?
A:
舐めなくなったからといって、愛情が冷めたわけではありません。成長や性格の変化、環境の影響で行動が落ち着いた可能性があります。
逆に、舐めないことが落ち着いた信頼の現れになる場合もあります。
Q4:目や口を舐められるけど大丈夫?
A:
基本的には問題ないことが多いですが、粘膜を直接舐められるのは感染リスクがあるため注意が必要です。
傷がある場合や体調が優れないときは避けたほうが無難。舐められたあとは、やさしく洗い流す習慣をつけておくと安心です。
まとめ|顔をなめる=気持ちのバロメーター
犬が人の顔を舐める行動には、ただのクセや甘えではなく、信頼・安心・愛情・不安・要求など、さまざまな感情が込められています。
舐める行動そのものが、犬なりの言葉であり心のサインなのです。
大切なのは、その行動を一面的に捉えるのではなく、「いま、どんな気持ちで舐めてきたのかな?」と優しく受け止めること。
そして、必要に応じてしつけや衛生面にも配慮しながら、犬との距離感を心地よく整えていくことが、良好な関係づくりにつながります。
顔を舐める行動を通じて、あなたと愛犬の絆がさらに深まりますように。犬の“声なき気持ち”を読み取るきっかけになれば幸いです。